東葛中高の六年間に望むこと

東葛中に入ったは良いが、果たしてその効果はどうなのか?

 

教科によっては教え方が独特(ある意味のんびり)で、高校受験に向けて一年生からバリバリ勉強している公立中、大学受験を見据えて先取り学習を行っている有名私立中の子達に大きく差をつけられてしまうのではないか?

 

東葛中受検を検討されている、あるいは既に東葛中に通うお子さんを持つ親御さんの中には、このような不安を抱えていらっしゃる方も少なからずおられることかと思います。

 

そのような不安をネットでのやや偏向した書き込みがさらに煽り立てます...

 

最近のゆず母さんの記事はそのような不安を持つ親御さんのお気持ちに応えようとする内容のものでした(お互い精いっぱい東葛中生、東葛中受検生を応援しましょう!)。

 

私自身は冒頭書いた事柄について全く不安に思っていません。特に、

(1)高校受験に向けてバリバリ勉強している

(2)大学受験を見据えて先取り学習をしている

という点については全く関心がありません。

 

【高校受験にむけてバリバリ?】

高校進学時に再受験を行う必要のない中高一貫校である東葛中の最大の特徴は、

「高校受験をしなくても良いこと」

なのですから、

「高校受験のためにフォーマット化された」

勉強なんてバリバリする必要はありません。

 

むしろ6年間というまとまった時間を使って、「高校受験」という中間目標が存在する場合には出来ない「ムダな勉強」をいっぱいしておいて欲しいわけです。

 

【大学受験に向けて先取り?】

「大学受験に向けた先取り学習」と書くと一見、中高一貫教育にしか出来ない事をしっかりやってくれているように聞こえますが、大学受験って6年間も面倒見てもらわなければ上手く行かないものでしょうか?

 

私は高校3年間に、せいぜい浪人の1年間が加われば十分だと考えています。

 

確かに浪人してしまうと余計にお金がかかってしまいますが、「現役ストレートでない」事がその先の人生を不利にするなんてことは私が見聞きしてきた限りありません。

 

私自身、会社入りたての頃に新卒のリクルーターをやっておおいに感じた事ですが、一年や二年そこらの浪人・留年なんて選ぶ側にとってなんてことはありません。時間がかかったなりに得ているものがあればそれでいいのです。

 

【勉強を自己完結させない授業】

長女の授業参観や学園祭を見に行ったことはありませんが、長女が取り組む課題や宿題を観察すると、「勉強を自己完結させない」ことが特徴の一つであることに気付かされます。

 

つまり、グループワークや、クラスでの発表を前提とした「アクティブ・ラーニング」形式の課題が多いのです。

 

そのような課題に「範囲」なんてありません。長女は発表のために時には高校・大学で習うような事柄を理解する必要がありますし、それを中学一年生にも分かるように説明しなければなりません。

 

自己完結的に決まった範囲の知識を溜め込むのではなく、仲間との協働の中で役割分担に応じて自分で情報を集め、咀嚼し、伝える相手の顔を見ながら効果的な方法を選んで伝えて行く。

 

そしてそれは「先取り」ということではありません。

 

そもそも「先取り」って何でしょう?「先取り」という言葉は学習の範囲が予め決まってしまっているような窮屈な環境で初めて生まれてくるものではないでしょうか。

 

中高一貫校と中だるみ】

私の通った学校含め中高一貫校には「中だるみ」という言葉があり、中学二年生後半から高校二年生前半位までの時期は皆、本当に勉強をしません。

 

その中で所謂難関大学や国公立の医学部に合格するような子たちがその「中だるみ」の時期に計画的、効率的に勉強をしてきた子かと言うとやはりそうでもないと言うのが、限られた私の経験に基づく考えです。

 

私の通った学校も御多分に漏れず、高校入試(高校受験で入ってくる生徒が1/4ほど)で偏差値がグンと上がります。

 

中学入学組が中だるみでボーっとしている間に、高校入学組はしっかり勉強して入学してきているわけです。

 

それでも、いわゆる難関大学に進学する子の大半を高校からの進学組が占めているかと言うとそうではなくて、逆に超難関に進学する子は、「中だるみ」で中学時代弛緩しきっていた中学入学組がほとんどでした。

 

これは個人差のある話ですが、そういう子は中だるみからの切り替わりもメリハリが効いていて、高校二年生の夏休み前くらいから顔つきが変わってきます。

 

・高校から付き合い始めた彼女が高校入学組で、彼女に追いつきたくて勉強を一生懸命やるようになった

・将来医者になりたいと考えたが、私大医学部の学費は出してもらえないので、国公立大医学部を目指すしかなく、一念発起した。

 

きっかけはいろいろですが、この時期に立ち上がった子達はしっかりと目標をクリアしている子が多いのです。

 

【ムダな勉強】

上述した事柄から思うのは、本人にシッカリした目標と動機があれば、大学受験のためだけに特化した勉強を行う時期は正味三年もあれば十分だということです。

 

であれば、それ以外の時間は多いにムダな勉強をしておいて欲しいわけです。「そんなのテストに出ないよ!」っていう勉強を、自分の興味に従って追求する。

 

例えば私の場合、中学二年生から高校一年生にかけて、部活とは別に、ダンジョンズ&ドラゴンズというロール・プレイング・ゲームにはまりました。

ダンジョンズ&ドラゴンズ - Wikipedia

 

ロール・プレイング・ゲームと言ってもそれはドラゴンクエストのようなテレビゲームではなく、世界設定と細々としたルールだけが決められていて、ゲームそのものはダンジョン・マスターという「ストーリーテラー」がそれらの設定・ルールを用いて自分で作り出す、一種のボードゲームなのです。

 

当時は輸入玩具店にしか置いてなくて、入門編を卒業してより発展的なレベルへ進むためのルールブックは英語で書かれた原書を読むしかありませんでした。

 

先取り学習なんて言わなくても、腕の良いダンジョン・マスターになるために、みなその原書を辞書を引き引き読みこなして行くわけです。

 

また、ダンジョン・マスターにはプレーヤーを惹きつけるストーリーの創造と、そのストーリーを伝える巧みな話術、プレーヤーのレベルに合わせた負荷(冒険)を適切に配置する計算力が求められます。

 

腕の良いダンジョン・マスターになるためには、リアリティのある世界設定が重要で、近年映画化されて話題となった「指輪物語」を読んだり、百科事典で西洋の様々な鎧・兜や武器について調べたりしました。

 

腕の良いダンジョン・マスターの見返りは何か?それは昼休み、食堂のあちこちで開かれるロール・プレイング・ゲームのブースに人だかりを作る事でした。

 

余談になりますが、私たちの世代にとってキング原作の映画、「スタンド・バイ・ミー」は特別な郷愁を誘う映画の一つでしょう。

スタンド・バイ・ミー - Wikipedia

 

映画の中には想像力豊かで物語を紡ぎ出す才能に恵まれたゴーディという少年が登場し、家庭環境の複雑な少年4人組の中でちょっとした時間に皆を想像力の草原にいざない、日常の鬱屈や将来への不安、恐怖から解き放つ「ストーリー・テラー」の役回りを演じます。

 

私は想像力や知力のこのような使い方、寄り添い方にとても深い憧れと、畏敬の念を感じるのです。

 

映画の中でゴーディは、リバーフェニックス演じるクリスから「物書きの才能を伸ばすように」と励まされ、長じて作家になります。後ほど「長い付き合い」の項でも触れますが、普段の表面的な付き合いから一歩踏み込んだ関係性の中で得られた、些細だけど手応えのある感触は、「中だるみ」から巣立っていく際の踏石として重要な役割を果たしているように思います。

 

閑話休題

ダンジョン・マスターにも様々なタイプがいて、デザインセンスを生かしてカッコいい武器、鎧、兜のリストやワクワクするような古地図を作る子、「剣と魔法の世界」を高校生活に持ち込んで、文才を生かして今で言うティーンズ向け小説のような世界観を作り上げる子。ダンジョンズ&ドラゴンズが描く「剣と魔法の世界」のディテールにこだわる本格派。

 

今から振り返って考えてみると、自分はこの遊びを通じて、今長女がやっている「アクティブ.・ラーニング」をやっていたんだなと考えます。

 

つまり、伝えるために学習指導要領にとらわれず学び、伝えたい相手の顔を見ながら効果的な仕掛けを配置しつつ語り、プレーヤーとの共同作業をしながら同じ丸テーブルを囲む時間を盛り上げて行く。

 

こんな「ムダな勉強」で溜め込んだ贅肉が、その後の受験勉強を乗り切る際の、少しばかりの知的余裕とエネルギーを与えてくれたように思います。

 

【長い付き合い】

それから、「ダンジョン・マスターが見せた意外な文才」のような部分を認め合うこと。これはとても大事な事であったと考えます。

 

学校での授業や運動、組織行動を中心とする部活動、これらの局面でうかがい知れるものは人間の能力・活動のほんの一面に過ぎません。

 

その向こう側に広がる様々な可能性の一端に触れ、認め合うことが出来たことは素晴らしい経験です。

 

はっきりした目標と心からの動機を得て「中だるみ」から巣立っていく子たちはその瞬間、外側からは一見わかりにくい自分なりのこのような強みをテコにしていることが多いように思います(抽象的な表現ですいません)。

 

そしてこのような強みを認識していない人からすれば、その子の変貌ぶりが理解できず、拒否反応を示すか、「天才」という言葉を使って思考停止するかどちらかです。

 

でも、学校のテストや運動能力、組織行動能力(例えばブラバンなど文化系の部活で、顧問の示す課題を忠実に実行し、軍隊並みの規律行動にしっかりついていける能力を想定しています。)では窺い知れないその子の良い面をつぶさに見ている仲間たちはその子の成功方程式を理解することが出来、それは自分達にもできることかもしれないと考えることができます。

 

【成功方程式の連鎖】

そのような理解が、仲間うちの一人が目覚め、「中だるみ」から巣立っていったときに僕も、私も、と続く成功方程式の連鎖を生むような気がしてなりません。

 

中学高校の6年間は人生で最も深く相手を知りたいと願い、影響しあう6年間です。そのような6年間の付き合いの中で、表面的なスペックの奥にある可能性を認め合うこと。このような経験を是非積んでいって欲しいのです。大学受験に特化した勉強なんて正味三年あれば十分。それよりももっと大事な「ムダな勉強」を大いにやってもらいたい。

 

幸い、東葛中高にはそれを実現するのにうってつけの仲間たちが集まっています。「試験問題は学校の顔」。あれだけオリジナリティに溢れててかつチャレンジングな適正検査を堂々突破して集まってきた仲間たち。きっと素晴らしい6年間を過ごせるはずです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弱点ノートの集計結果(適性検査及び長女の弱点の傾向)

以下は、昨年度受検の際に長女と作った弱点ノートを集計したものです。

弱点ノートとは、

「適性検査理系総合問題において長女が解けなかった問題で、解答を見ても理解できなかったものを集めたもの(県立千葉、東葛中についてはできる出来ないに関わらず分類を行なっています)

で、

・当該問題については一旦飛ばして先に進んでもらい、後日私が解説を行うことで時間の節約を行う。

・弱点ノートを分類・集計することで長女の苦手な問題傾向を把握する。

・後日、弱点ノートを中心に復習(①掲載問題の解答を完成しながら解法の整理定着を図る、②似た傾向の問題を集中的に解くことで苦手意識を克服する)を行うことで定着度合いの向上を図る。

 

ことを目的に作ったものです。

 

県立千葉、東葛や全国の適性検査問題の傾向を読み取ることができて面白い(例えば天体、光の反射は県立千葉、東葛で頻出の重要分野ですが、この分野については沖縄県が同様に頻出分野になっている等)ので是非ご活用ください。

 

 

https://moro241.files.wordpress.com/2017/09/e5bcb1e782b9e3838ee383bce383881.pdf

行程録 その5

最後に、二次検査でようやく登場となる、国語について。

 

【継続的な取り組みー作文、漢字、読書】

国語に関して長女が継続的に取り組んでいたのは漢字、作文、そして読書でした。

 

漢字に関しては夏休みから毎朝起きがけに20分程度、計算問題と漢字の書き取りを行うようになり、受検日まで続けていました。

 

作文に関しては、五年生から通い始めた東葛中受検コースで「作文教室」という教材を扱っており、塾の授業の中で継続的に取り組んでいました。

 

そしてこれは、対策というよりは長女の趣味ですが、長女は本が好きで、1日10時間以上勉強していた夏休みにも、読書で息抜きをしていました。受検直前の追い込みの時期には、短時間に読める星新一氏のショートショートを読んでいたようです。

 

【漢字、作文、読書の効用】

上記にも関わらず、長女が適性検査で一番苦手としていたのが実は適性検査2-2、つまり国語でした。

 

それでは上記三つはどのように役立ち、あるいは役に立たなかったのでしょうか?

 1.漢字

まず漢字ですが、東葛中適性検査の場合、漢字の書き取りのような、漢字の知識そのものを問うような問題は出題されません。

 

但し文系総合、国語共に記述問題が多く出題され、その解答の中で漢字の間違いがあったり、小学校で習う範囲の漢字がかけない(ひらがな表記)と減点の対象になるようです。

 

漢字書き取りの効果はこのように間接的なものに止まりますが地味に効いてきますので、計算問題演習と合わせて習慣づける事をお勧めします。

 

2.作文

次に作文ですが、直接的には文章の構成力の向上を通じた記述スピードアップ。つまり、自身の考えや幾つかの事柄をまとめ上げて伝える際の自分なりの文章の型の習得に伴う記述問題への対応スピードの向上。

間接的には、実際に伝えるための作業を繰り返す事で他人の文章を読む際に勘所がわかるようになる事、そしてその事を通じた読解スピードの向上。という効果があったと思います。

 

3.読書

 実は読書は私にとって長女との重要なコミュニケーションツールになっていて、長女が読んでいる十代向けの児童文学を私が読んだり、私自身読んでみて面白かった本(こちらはもっぱら大人向けの本)を長女に紹介したりする中で長女が読んでいる本は大体私も読んでいたりします。

そして、長女が作文教室で書いた作文は実は私もこっそりと読んでいたのですが、その中で感心させられたのが、好きな作家から受ける文体の影響です。

 

「ああ、こんな文章構成や接続詞の使い方、文章の結び方は長女が好きなあの作家の文章そっくりだな。」と思うことがしばしばあるわけです。

 

よく作家になる人は、「文章をよく書く人」である前に、「文章を誰よりも読む人」だと言いますが、なんとなくその意味がわかる気がします。上手な文章を書く人、印象的な文章を書ける人というのは、何よりもまず、そんな文章に数多く触れている人なわけです。

 

長女の読書はそのような形で、間接的にではありますが、作文技術の幅を広げるという観点で効果があったと考えています。何よりも、作文と相まって、無意識に好きな文体を真似て文章を書く、という楽しみに触れ得たことは、適性検査という枠を超えて、良い経験になったのではないでしょうか?

 

 4.それでも足りないもの

上記のように書くと、さも長女が国語を得意にしていたように聞こえます。実際、学校のテストや塾で定期的に受ける学力テストでは長女も国語を得意としていたのですが、適性検査、とりわけ千葉県の適性検査を想定した模試では、いつも足を引っ張っていたのです。

 

何が足りなかったのか?それを考える前に、適性検査で「どこまで求められているのか?」について考えてみましょう。

 

【解答例から類推する読解問題の要求水準】

出題者の要求水準を類推するため、平成27年度適性検査2-2における設問の解答例を見て行きます。

その前に素朴な疑問ですが、果たして市販の過去問題集に付いている解答は信用できるのでしょうか?これから解答例を頼りに出題者の題意を推し量ろうと言うのに、その解答を出版社(あるいはアルバイトの学生)が作成しているとあっては元も子もありません。

上記に対する答えは「信用して良い」ということのようです。これは誉田進学塾

誉田進学塾グループのWeb Site

が主催するTOP-Sの進学研究会で質問した際に教えていただいたのですが、いわゆる市販の過去問題集の解答は出題者側が開示する解答をそのまま掲載しているとのことでした。

以下は平成27年度千葉県適性検査2-2において出題された設問と、出題者側が開示した解答例です。

 

[設問]

雑草にとって「小さな花を咲かせること」は、どのような結果につながると筆者は考えているのでしょうか。雑草の花の咲かせ方にふれながら、書きなさい。

 

[解答例]

雑草は、小さな花を1つでもいいから、まず咲かせることで種子を残し、それが芽を出し、花を咲かせ、過酷な環境下でも命をつなぐ。また、小さな花をたくさん集めて咲かせ、大輪の花に負けない大きさにすることで、昆虫に発見されやすく、受粉の機会を増やす。このように、雑草にとって「小さな花を咲かせること」は、生き残ることやその可能性を広げるという結果につながると筆者は考えている。

 

解答例では前半部分で雑草の花の咲かせ方を文中のキーワードのコピペ、言い換えで説明した後に、「小さな花を咲かせること」がもたらす結果について下線部のようにまとめています。その意味で下線部はいわば本設問の核心部分ですが、実は下線部には本文中で使われる言葉が一語も含まれていません。

 

つまり、適正検査の国語では「文意を汲み取り、本文中にある言葉のコピペや言い換えレベルではなく、自分で適切な言葉を選んでまとめる」力まで問われているのです。

 

言葉で言ってしまうと簡単ですが、上記はとても難易度の高い要求水準です。乏しい自身の経験に照らすと、読解問題に関してこのような解答が書けるようになれば、大学受験まで十分に通用するレベルではないでしょうか?

 

【結局良質の読解問題を解くことによってしか鍛えられない】

一次検査後、長女はこれまで手付かずだった国語をどうにかするために問題集を数冊潰しましたが、千葉県適正検査対策としてはあまり役に立たなかったというのが正直なところでした。

継続的に行っていた漢字、作文、読書にしても直接的な効果は得られません。作文は自身の考えを言葉に具体化する作業ですが、なにかよほど哲学的なテーマが与えられるのでもない限り、作文で「第三者が文章によってぼんやりとイメージさせる題意を具体的な言葉にする。」に相当する作業を行うことは稀で、通常はより簡単な作業に終始していることでしょう。

読書はほとんどの場合、筆者が文章によってぼんやりとイメージさせてくれるものの余韻を楽しんで終了であり、「読書感想文を書け」とか、「この本の批評、解説を書いて欲しい」というのでない限り、そのぼんやりしたものを言葉で具体化しようとすることは稀でしょう。

結局長女の読解力の向上に役立ったのは、千葉県を中心とした良質の過去問演習と、丸付けの段階での議論(長女の解答ではなぜいけないのか?解答例以外にどのような書き方があるか?問題文の解釈の仕方など)でした。

 

過去問題演習にあたっては、千葉県適性検査の過去問題(こちらは塾の授業)、銀本、都立の過去問等を用いました。

また、独習用には以下問題集が解説も丁寧であり、参考になりました(長女も何冊か解いた問題集のうち、以下は手応えがあったようです)。同問題集は、似たような問題傾向の学校を探すためにも重宝しました。

 

 https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=1623

「とまつ式公立中高一貫校合格をつかむ作文トレーニング」

 

 

 

行程録 その4

これまで、理系総合科目を中心とした一次検査対策を中心にご紹介して来ましたが、ここでは文系総合科目の一次検査対策についてご紹介します。

 

【文系総合科目対策の概要】

文系総合科目では新聞やニュースで目にする時事問題や、学校で直面するような課題解決、普段の生活で触れる事柄(スーパーのチラシや生鮮食品の産地etc.)を入り口とした経済・社会に関する問題が出題されます。

 

文系総合科目については、①長女自身が得意にしていたこと、②塾でかなり手厚くご指導していただいたこと、からほとんど塾任せで、夏休みの間は塾でやった内容の復習(解き直し)がほとんどでした。

 

長女の通っていた塾では二年連続東葛中の合格者実績で首位に立っていますが、その実績を支えているのが、この文系科目の指導にあると考えています。

 

適性検査における理系総合科目の難しさや、一般の私立中学入試問題にはみられない出題形式から、公立一貫校受検のカギを握るのは理系総合科目と思われがちですが、より確実に実力の底上げができるという意味において、文系総合科目は非常に重要だと思います。

 

【文系総合科目検査問題の素晴らしさ】

公立一貫校単願にするか、私立との併願にするか迷った際に私の頭をよぎったのは自身の私立中学受験の経験でした。

 

私はもともと本を読んだり、新聞で世の中のことに興味を持ったりというよりは、サッカー選手に憧れたりする普通の小学生男子でしたが、友達に誘われて春期講習を受けたことをきっかけに気がつくと中学受験競争の真っ只中にいました。

 

そんなわけですから、日本史に出てくる年号や藤原氏の系図、都道府県別の特産品や議会の意思決定ルール、日本の省庁とその役割など変な知識はやたらありましたし、国語の読解問題では山本有三志賀直哉武者小路実篤あたりから川端康成などを読まされていました。

 

しかし今から振り返ってみると、自分の住んでいる地域に残る史跡にロマンを感じるわけでもなく、新聞を読んで世の中の流れに想いを馳せるわけでもなく、自分が通う学校や自治体の活動を誰が担い、どのように行われていくのか興味が湧いたり、イメージを持っていたりするわけでもなく、ましてや日本の代表的な文学作品を好んで読むわけでもありませんでした。

 

このような、知識と動機、目的のギャップ。つまり、その知識を活用することで何かしたいことがあるわけでもなんでもないのだけれど、とりあえず偏差値の高い学校に行くために同年代の他の子がほとんど触れないような知識を詰め込んで行く...

 

 そんなギャップが、大人になってから振り返ってみると非常にアンバランスなものに思えたのです。

 

そのような思いがあったために、長女のケースでは私立中学との併願を選択しませんでした。

 

それでは、適性検査やそのための勉強はどうでしょうか?確かに検査を勝ち抜くための訓練は必要であり、長女の夏休みはそのための訓練に一日10時間以上、明け暮れる毎日でした。

 

但し、そこに無駄な詰め込みや無意味な先取り学習のようなものはほとんど無かったと考えています。実際、特に千葉県の適性検査問題はよく練られた、素晴らしい検査だと思います。

 

特に私立中学受験の文系科目につまらない印象を抱いていた私にとって、適性検査文系総合科目はとりわけ素晴らしく感じます。

 

百聞は一見にしかず。まずは2017年度の問題を実際に見てみましょう

 

http://keiyo-gakusha.net/ad/wp-content/uploads/2017/05/chibaH29-1-1.pdf

 

まず問題1ですが、これは単純に読み物として読んでもとても面白く感じます。図表がふんだんに登場し、簡単な割合の計算などをしつつこれらを活用することでより興味深い発見が出来ることがわかります。

 

昔、千葉県がお茶の産地として有名であったことはこの問題で初めて知りましたし、千葉エコ農産物など、この問題を解いた後ではスーパーの生鮮食品コーナーの見方も違ってくるのではないでしょうか?

 

問題2にざっと目を通した後で、以下リンクをご覧になってください。

 

http://blog.goo.ne.jp/kimono08/e/51d104736c38b77956dca282ef274971

 

上記は2006年の東大前期試験で出題された地理の問題です。

 

適性検査の問題2-(4)、2-(5)は東大前期試験とそっくりで、どちらも

 

1) 1960年ごろ、日本の人工林において、植樹が盛んに行われたこと。

2) その後、木材の供給は自由化による安価な輸入材におされ、植樹、伐採の双方が減少して行き、現在では樹齢60年前後の樹の樹齢別人工林面積構成に占める割合が増えていること(まるで日本人人口における年齢構成のように)。

 

が解答のポイントとなります。

 

東大前期試験では、樹齢別人工林面積のグラフの推移と、木材供給量に占める国内産木材と海外産木材の推移と、「輸入自由化、木材価格」というキーワードで解答への誘導を行なっていますが、「輸入自由化、木材価格」というキーワード指定での誘導はいかにもやっつけな感じがしますし、樹齢別人工林の推移のグラフについても、そこから沢山の情報を引き出せるという意味では納得感がありますが、なんとも味気ない感じです。

 

基本的には、日本の林業の概観について知識を持っている人が、グラフとキーワード指定を受けて、「ああ、このテーマについて書けばいいのね!」と解答する、形を変えた暗記問題になっています。

 

一方で、適性検査では、植林面積の推移、国産木材と海外産木材の割合推移、国内での木材生産と森林からの伐採量の相関、という、解答に必要な材料を提示し、問2-(4)で考え方の訓練をさせた上で、面積と容積(森林蓄積量)のギャップから、60年前に植林された樹々が伐採されずに成長し、大樹に育つ様を想像させることで解答へと導いています。

 

上記を想像された時、私はハタと膝を打ちました。解答に至る過程がなんともドラマティックではありませんか...

 

さらに素晴らしいのは問題2-(6)です。お子さんは別に知識をひけらかすために勉強するのではなく、前向きなソリューションを考えるために勉強するのだと思います。

 

次回では、二次適性検査で初めて登場する国語についてお話をさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行程録 その3

ここでは、先にあげた問題集について、その活用方法をご紹介します。

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 適性検査の過去問から45題を精選した上で、一問一問丁寧に解説してあり、独習に適している(無料ビデオ講座を見ることもできます)他、適性検査過去問演習の初級者にはちょうど良い難易度です。

銀本を使った問題演習の合間の独習用として長女もこの問題集からスタートし、この問題集を解き切って自信をつけてからより難易度の高い問題集へと移っていきました。

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以下6つの視点から170題の過去問を精選・分類した問題集。

■条件を整理する
 →与えられた情報から、条件や必要なことがらを整理する
■視点を変える
 →立場や視点を変えて考えたり、具体化・抽象化して考える
■因果関係をつかむ
 →現象やデータの因果関係を類推したり、根拠や理由を言語化する
■調べる・比べる
 →資料の関連や特徴を読み取る。共通点や相違点、変化をとらえる
■数を操作する
 →ルール従って数を操作し、必要な数値を求める
■自分で造り出す・決定する
 →自分の経験や意見をもとに、新たな提案や創作を行う

 

「45題詳細解説」を解ききる頃には弱点ノートにもある程度問題が溜まってきますので、弱点ノートに溜まりがちな苦手分野を集中的に訓練するために使いました。

先にあげた「45題詳細解説」に比べると難しい問題も増え、解答解説を読んだだけでは分からないケースも出て来ます(「45題詳細解説」に比べると解説もかなりあっさりしています)ので塾の先生や親御さんのサポートが必要になってきますが、この問題集を解きあげると適性検査の問題パターンをほぼ網羅できると思います。

夏休みは銀本とこの問題集が自宅学習の中心になりました。苦手な問題パターンを中心に夏休みに7〜8割を解きました。

 

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長女の苦手な問題の1つが、何らかの合理的な判断で探索領域を限定した上で、その中の全組み合わせをコツコツと調べ上げて行くタイプの問題で、特に「探索領域にあたりをつける」部分を不得意としていました。

場合の数は上記の良い訓練になりますし、図形問題は千葉県の適性検査では頻出分野でしたので、書店で見つけて買い与えました。

解法パターン別に問題が細分化されていますので、苦手な問題、強化したい問題ごとに辞書的に活用しました。

 

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図形問題の強化を考えた際に上記の問題集とどちらが良いか判別がつかずに両方買いましたが、こちらは問題が難しく、結局利用しませんでした。

 

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 私立中学受験でならう特殊算等について、辞書的にかなり細分化、網羅されているため、特殊算の知識を活用できる問題に出会った際に辞書的に活用しました。

 

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 夏休みを終えた秋口以降、長女の問題解答能力が飛躍的に上がり、この時期には貪るように問題に当たっておりました。それまで問題集の選択に迷って購入したものの本棚に眠っていたものですが、気づけば長女が引っ張り出して解き切っていました。

 

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 こちらも同様です。

行程録 その2

【初めは歯が立たない過去問題集】

長女の通っていた塾では、夏休みから全国の適性検査過去問題集(銀本)

http://www.mikuni-webshop.com/smartphone/detail.html?id=000000000710&category_code=ct57&sort=order&page=1

を解くことが解禁されます(秋から過去問題演習があるため、千葉中・東葛中を除く)。

長女も解禁と同時に銀本を解き始めましたが、特に理系総合問題(適性検査1-2)に関して最初は全く歯が立たず、塾の自習室から泣いて帰ってきたこともあります。

 

【初めての過去問、向き合い方】

上記のような状態の中でまず最初に努めたことは、長女に展望を与え、無力感を取り除いてやることでした。

知識の積み重ねや特殊算の解法を一通りマスターすることが成果に直結しにくい適性検査において、お子さんはどうしても「頭の良さ」のようなものを意識しがちです。

そして過去問が解けないと、それは自分の頭が悪いからだと悲観的に捉え、無力感に囚われてしまいます。

そのような時には、以下のような言葉を何度でもお子さんに投げかけてあげてください。

 

・質(頭の良さ)は閾値を超える量の訓練を経て量が転換したものであること。

・お子さんは今、ようやくその訓練に取り組もうとしているところであり、 現段階で効果が出ないのはむしろ当たり前であること。

・それでもこの夏しっかりと量の訓練をこなし、山を登りきることができれば、秋口には素晴らしい展望が開けること。

 

閾値を超える量の訓練をできなかった人、する気もなかった人ほど、「天才」、「才能」という言葉を安易に持ち出し、「秀才」という言葉を使って量の訓練に挑むお子さんを暗に馬鹿にしようとします。

そんな言葉は聞くに値しない雑音です。

「努力は必ず報われる。」親御さん自身が強く胸に刻み込んで、お子さんの気持ちを支えてあげてください。

 

【過去問への取り組みかた】

過去問は最良の適性検査対策の一つであることは疑いがありません。長女は2017年度受検用の銀本を全て解き、間違えた問題は一次検査までに何度も解き直しをしました(この弱点ノートについては後ほど触れます)。

但し銀本には以下のような欠点があります。

・解説がなく、独習に不向きなこと

・全国の適性検査を網羅しているが、解く順番を間違えると、お子さんの自信を必要以上に奪うことになること。

銀本には解答が付いていますが、そこに至る筋道を示す解説がありません。よって間違えた問題で解答を見ても解き方がわからない場合には、そこで時間をかけずに付箋をつけておいてもらい、後日私が弱点ノート(ルーズリーフ)への問題のコピーの貼り付けと長女への解説を行いました。

弱点ノートは長女が間違えた問題を分類しながらそのコピーをルーズリーフホルダーに貯めて行きます。この分類作業を通じて長女の弱点が判り、その後の重点的演習の際の資料にもなりました。

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 次に銀本を解く順番ですが、大抵の塾では秋口以降、千葉県の過去問を用いた過去問演習を行いますので千葉県の問題は飛ばします。

それから東京都、神奈川県、京都府の問題も、この時期には難しくてお子様の自信を無駄に削いでしまう恐れがあるので後回しにします。

長女は初めて過去問に取り組み始めた際、いきなり東京都の問題から始めてしまったため、歯が立たず、余計に自信を削ぐ結果となってしまいました。

東京都の一貫校は共通問題と各学校の独自問題の組み合わせになりますが、独自問題については学校によってかなり傾向が違ってきます。

これはあくまで個人的な感想ですが、小石川、大泉などはトリッキーな問題や無駄に難しい問題も含まれており、あまりお勧めしません。逆に両国、武蔵などは良問が多いと感じました。また、三鷹は泥臭くコツコツと調べて行く問題が出ることが多いように感じます。

長女は朝起きてからの2時間程度と、塾の自習室に場所を移してからの2時間程度を過去問演習に当てていたようです。

 

【その他の独習用問題集】

過去問題演習以外の時間では、詳細な解説がついた問題集を用いて独習を行いました。

ここでは、使った問題集をざっとあげ、その具体的な使い方について次回以降補足させていただきます。

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行程録

みなさんのご参考になるかどうか分かりませんが、2017年度適性検査に向けた長女の歩みをご紹介します。

 

【塾選び】

長女は小学四年生の冬期講習で初めて塾通いを経験し、小学五年生から東葛中受験コースに通い始めました。

柏駅近くに校舎を構えるその塾は2年連続で毎年40名近い東葛中合格者を出しており、振り返って考えてみるととても良い環境に身を置くことができたと考えています。

わずか二年間ではありますが、これだけ合格者の数が安定しているということは、潜在的東葛中合格者のかなりの割合がこの塾のこのコースに集まっているということです。

そのような環境では塾の側も、お子さんの到達度に関する見立ての精度が上がって行きます。またこれはこの塾固有の特徴ではありますが、お子さんの様子をとてもよく観察し、こちらから望めば非常に親身になって相談に乗ってくれます。

 

【受検までの行程の概観】

まずは受検スケジュールを見渡してみます。昨年のケースですと

12/10 一次検査

12/22 一次検査合否通知

1/16   報告書、志願理由書等提出

1/28   二次検査、面接

2/3     二次検査合否通知

2/6     入学確約書提出期限(16:00)

2/8     繰上げ合格者通知期限

でした。

 

まず、各項目について簡単に触れてみましょう

1)一次適性検査

国語、社会など文系科目の総合的な適性を見る適性検査1-1、算数、理科など理系科目の総合的な適性を見る適性検査1-2、それぞれ100点満点、合計200点の筆記試験です。

東葛中は毎年10倍以上の倍率がありますが、この段階で受検者が倍率4倍までに絞られます。

 

2)二次適性検査

算数、理科、社会、身の回りの生活での問題解決などの文系・理系総合での適性を見る適性検査2-1、共通のテーマに対する二つの異なる考え方(そのうちの一つは聞き取り)を要約した上でどちらに妥当性を感じるか自身の考え方を明らかにし、自らの経験も踏まえてその理由を記述する適性検査2-2、それぞれ100点満点、合計200点の筆記試験です。

 

3)報告書

いわゆる「 内申書」です。

都内の中高一貫校ではそれなりに配点があるようですが、千葉中・東葛中ではほとんど配点がないというのが定説で、あまり重視されていません。

 

4)志願理由書

東葛中の志望動機や入学後力を入れたい事などを、将来の夢を交えつつA4用紙一枚にまとめて提出します。選考にほとんど影響がないとの見方もあります。選考に影響があるとの考えからか、これをまとめる作業を通じた受検生への副次的な効果を期待してかは分かりませんが、長女の通った塾ではかなり重視しており、長女は何度も書き直しをしました。

 

5)面接

5人ほどのグループで行い、順番に志望理由をのべた後、2017年度の場合は行ってみたい国とその理由を聞かれたそうです(2016年度は好きな言葉)。志望理由書と同様、選考への影響という点では見方が分かれており、長女の通った塾ではさほど重視されていませんでしたが、別の塾では20点ほど配点があり、ボーダーライン上の順位が入れ替わるくらいの影響度があるとの見方をしていました。

 

【一次検査と二次検査】

 長女が通った塾では12/10まで全力で一次検査に臨む方針をとりました。

二次検査になると、一次検査でそれぞれ100点が与えられていた文系総合問題(適性検査1-1)、理系総合問題(適性検査1-2)がまとめられ、適性検査2-1として100点しか配点されません。

このことは、次の二つの点で高得点を狙うことが困難になることを意味します。

1) 答案作成に時間のかかる記述問題と、捨て問(費用対効果が見込めない問題に早い段階で見切りをつけ、時間ロスを最小限に抑えるテクニック)を適切に行えないと大きな時間ロスにつながる難解な理系問題が混在し、結果的に一次検査よりも時間当たりの問題のボリュームが多くなっている事。

2) 理系問題の問題数が減り、その結果得意な問題に出会えない確率が大きくなる事(50点取ればボーダーラインに手が届く難解な試験において、問題数の多さは得意な問題に出会えない確率を低く抑える機会分散と捉えるべき)。

 

つまり適性検査2-1は、適性検査1-1、1-2、に比べて得点を伸ばしにくいのです。

 

それでは、二次検査で残りの100点が与えられる読解・聴き取り・作文の総合問題(適性検査2-2)はどうでしょう?

適性検査2-2は国語の総合問題ということができますが、これは一次検査で出題されないため、この能力・適性だけに優れていても、二次検査にたどり着けるかどうかわかりません。

加えて、以下のような理由でやはり、得点を伸ばしにくい検査だと言えます。

1) 問題のレベルが高い。

過去問題の解答例から、要約問題では文章中からキーセンテンスを抜き出してコピペするだけでは不十分で、より抽象化された適切な言葉への言い換えをできる事が求められているように見受けられます。

また聴き取り問題は県立高校の入試問題でも出題があり、長女も対策の一環で当該過去問を解きましたが、東葛中の聴き取り問題は県立高校のそれに比べても難易度が高く感じました。

2) 採点基準が非常に厳しい。

これは文系総合問題や理系総合問題の記述問題にも当てはまることですが、東葛中の記述問題の採点基準は非常に厳しく、「書けた割に点が取れていない」ケースが非常に多く見受けられます。

昨年度まで公開されていた誉田進学塾主催の模試TOP-Sではこの採点基準までしっかりと再現されており、解答に対して非常に丁寧な添削がつくためにその勘所を掴むための非常に重要な資料となっていましたが、残念ながら今年度から非公開化されてしまいました。

この、文系記述問題の採点基準は実は塾でもおそらくあまり対策が立てられていない部分だと思いますが、普段からの学習の中で気をつけているのといないのとでは大きな差につながる可能性があるため、注意が必要です。

 

以上のような理由から、「まずは一次検査に全力で当たり、ここでなるべく多くの得点を稼ぐ」という作戦は合理的であると考えます。

 

【意外に時間が残されていない6年生】

これまでにのべた通り、私立中学受験の天王山を2/1とすると、東葛中受検の天王山は12/10。この追い込みの時期の二ヶ月の差は大きく、夏休み明けは私立中学受験で言うところの11月に当たるわけです 。

この点をしっかりと意識して、夏休みからは12月との距離感を意識しながらお子さんの到達点を評価する必要があります。

 

【受検は繰上げ合格者通知期限まで】

「ゆず母」さんのブログ

http://whiteboard16.hateblo.jp/entry/027

で詳しく分析されていますが、各塾の合格者数の推移を見ると、毎年推定ベースで20-40名前後の合格辞退者が発生する計算になります。

定員の1/4〜1/2もの繰上げ合格が発生する訳で、東葛中受検はこの繰上げ合格まで待って初めて終わると言っても過言ではありません。

そして、私立中学のように合格辞退者を予め見積もらずにきっちり80名にしか合格を出さない東葛中受検において、繰上げ合格は間違いなく立派な合格です。

合格辞退者はどのような顔ぶれなのでしょうか?これは一概には言えないようです。

長女の通っていた小学校では以下のようでした。

初年度(2016年度)、私立中学併願者のうち、東葛中の合格を勝ち取ったのは開成中学に合格したお子さんだけでだったようです。

2017年度、私立中学併願者で東葛中に合格したお子さんはいなかったようです。

 

まずは長女の歩みについて、表面的な部分を概観しました。

次回以降、より具体的な内容に踏み込んで行ければと思います。