行程録

みなさんのご参考になるかどうか分かりませんが、2017年度適性検査に向けた長女の歩みをご紹介します。

 

【塾選び】

長女は小学四年生の冬期講習で初めて塾通いを経験し、小学五年生から東葛中受験コースに通い始めました。

柏駅近くに校舎を構えるその塾は2年連続で毎年40名近い東葛中合格者を出しており、振り返って考えてみるととても良い環境に身を置くことができたと考えています。

わずか二年間ではありますが、これだけ合格者の数が安定しているということは、潜在的東葛中合格者のかなりの割合がこの塾のこのコースに集まっているということです。

そのような環境では塾の側も、お子さんの到達度に関する見立ての精度が上がって行きます。またこれはこの塾固有の特徴ではありますが、お子さんの様子をとてもよく観察し、こちらから望めば非常に親身になって相談に乗ってくれます。

 

【受検までの行程の概観】

まずは受検スケジュールを見渡してみます。昨年のケースですと

12/10 一次検査

12/22 一次検査合否通知

1/16   報告書、志願理由書等提出

1/28   二次検査、面接

2/3     二次検査合否通知

2/6     入学確約書提出期限(16:00)

2/8     繰上げ合格者通知期限

でした。

 

まず、各項目について簡単に触れてみましょう

1)一次適性検査

国語、社会など文系科目の総合的な適性を見る適性検査1-1、算数、理科など理系科目の総合的な適性を見る適性検査1-2、それぞれ100点満点、合計200点の筆記試験です。

東葛中は毎年10倍以上の倍率がありますが、この段階で受検者が倍率4倍までに絞られます。

 

2)二次適性検査

算数、理科、社会、身の回りの生活での問題解決などの文系・理系総合での適性を見る適性検査2-1、共通のテーマに対する二つの異なる考え方(そのうちの一つは聞き取り)を要約した上でどちらに妥当性を感じるか自身の考え方を明らかにし、自らの経験も踏まえてその理由を記述する適性検査2-2、それぞれ100点満点、合計200点の筆記試験です。

 

3)報告書

いわゆる「 内申書」です。

都内の中高一貫校ではそれなりに配点があるようですが、千葉中・東葛中ではほとんど配点がないというのが定説で、あまり重視されていません。

 

4)志願理由書

東葛中の志望動機や入学後力を入れたい事などを、将来の夢を交えつつA4用紙一枚にまとめて提出します。選考にほとんど影響がないとの見方もあります。選考に影響があるとの考えからか、これをまとめる作業を通じた受検生への副次的な効果を期待してかは分かりませんが、長女の通った塾ではかなり重視しており、長女は何度も書き直しをしました。

 

5)面接

5人ほどのグループで行い、順番に志望理由をのべた後、2017年度の場合は行ってみたい国とその理由を聞かれたそうです(2016年度は好きな言葉)。志望理由書と同様、選考への影響という点では見方が分かれており、長女の通った塾ではさほど重視されていませんでしたが、別の塾では20点ほど配点があり、ボーダーライン上の順位が入れ替わるくらいの影響度があるとの見方をしていました。

 

【一次検査と二次検査】

 長女が通った塾では12/10まで全力で一次検査に臨む方針をとりました。

二次検査になると、一次検査でそれぞれ100点が与えられていた文系総合問題(適性検査1-1)、理系総合問題(適性検査1-2)がまとめられ、適性検査2-1として100点しか配点されません。

このことは、次の二つの点で高得点を狙うことが困難になることを意味します。

1) 答案作成に時間のかかる記述問題と、捨て問(費用対効果が見込めない問題に早い段階で見切りをつけ、時間ロスを最小限に抑えるテクニック)を適切に行えないと大きな時間ロスにつながる難解な理系問題が混在し、結果的に一次検査よりも時間当たりの問題のボリュームが多くなっている事。

2) 理系問題の問題数が減り、その結果得意な問題に出会えない確率が大きくなる事(50点取ればボーダーラインに手が届く難解な試験において、問題数の多さは得意な問題に出会えない確率を低く抑える機会分散と捉えるべき)。

 

つまり適性検査2-1は、適性検査1-1、1-2、に比べて得点を伸ばしにくいのです。

 

それでは、二次検査で残りの100点が与えられる読解・聴き取り・作文の総合問題(適性検査2-2)はどうでしょう?

適性検査2-2は国語の総合問題ということができますが、これは一次検査で出題されないため、この能力・適性だけに優れていても、二次検査にたどり着けるかどうかわかりません。

加えて、以下のような理由でやはり、得点を伸ばしにくい検査だと言えます。

1) 問題のレベルが高い。

過去問題の解答例から、要約問題では文章中からキーセンテンスを抜き出してコピペするだけでは不十分で、より抽象化された適切な言葉への言い換えをできる事が求められているように見受けられます。

また聴き取り問題は県立高校の入試問題でも出題があり、長女も対策の一環で当該過去問を解きましたが、東葛中の聴き取り問題は県立高校のそれに比べても難易度が高く感じました。

2) 採点基準が非常に厳しい。

これは文系総合問題や理系総合問題の記述問題にも当てはまることですが、東葛中の記述問題の採点基準は非常に厳しく、「書けた割に点が取れていない」ケースが非常に多く見受けられます。

昨年度まで公開されていた誉田進学塾主催の模試TOP-Sではこの採点基準までしっかりと再現されており、解答に対して非常に丁寧な添削がつくためにその勘所を掴むための非常に重要な資料となっていましたが、残念ながら今年度から非公開化されてしまいました。

この、文系記述問題の採点基準は実は塾でもおそらくあまり対策が立てられていない部分だと思いますが、普段からの学習の中で気をつけているのといないのとでは大きな差につながる可能性があるため、注意が必要です。

 

以上のような理由から、「まずは一次検査に全力で当たり、ここでなるべく多くの得点を稼ぐ」という作戦は合理的であると考えます。

 

【意外に時間が残されていない6年生】

これまでにのべた通り、私立中学受験の天王山を2/1とすると、東葛中受検の天王山は12/10。この追い込みの時期の二ヶ月の差は大きく、夏休み明けは私立中学受験で言うところの11月に当たるわけです 。

この点をしっかりと意識して、夏休みからは12月との距離感を意識しながらお子さんの到達点を評価する必要があります。

 

【受検は繰上げ合格者通知期限まで】

「ゆず母」さんのブログ

http://whiteboard16.hateblo.jp/entry/027

で詳しく分析されていますが、各塾の合格者数の推移を見ると、毎年推定ベースで20-40名前後の合格辞退者が発生する計算になります。

定員の1/4〜1/2もの繰上げ合格が発生する訳で、東葛中受検はこの繰上げ合格まで待って初めて終わると言っても過言ではありません。

そして、私立中学のように合格辞退者を予め見積もらずにきっちり80名にしか合格を出さない東葛中受検において、繰上げ合格は間違いなく立派な合格です。

合格辞退者はどのような顔ぶれなのでしょうか?これは一概には言えないようです。

長女の通っていた小学校では以下のようでした。

初年度(2016年度)、私立中学併願者のうち、東葛中の合格を勝ち取ったのは開成中学に合格したお子さんだけでだったようです。

2017年度、私立中学併願者で東葛中に合格したお子さんはいなかったようです。

 

まずは長女の歩みについて、表面的な部分を概観しました。

次回以降、より具体的な内容に踏み込んで行ければと思います。